お産のはなし4

へその緒を切るのは
胎盤がでたあとにするつもりだった。
胎盤から、酸素や血液がおくられているうちは
肺呼吸がはじまっていたとしても
まだ役目を終えていないだろうから
胎盤がはがれおちてからが
一番自然だろう思っていた。


でも、胎盤はなかなかでてこなかった。
布団によこになったまま
あかちゃんを胸に寄せて
胎盤がでてくるのを待った。


やっちゃんは、洗濯と掃除におわれていた。


のんびりしていたのもつかの間、
わたしは、後産のための後陣痛におそわれた。
出産を終え、油断していたわたしには
後陣痛の波は、普通の陣痛よりも激しいと感じた。
10分おきくらいにやってくる陣痛の波。
もうやっちゃんも、背中をさすりには来てくれない。泣
わたしはあかちゃんをそばに置き
(もうだっこする体力がのこってなかった)
ただひたすら耐えた。
3時間くらいして、あのぷりぷりと
生きてるみたいなへその緒が、
へびの抜け殻のように、伸びきって
へなへなとしなってしまったのを見て
胎盤はまだでてきてないけど
とりあえず、きりはなすことにした。
わたしと、あかちゃんをつなぐものを。
さいしょの自立の儀式だ。
後陣痛のあいだ、へその緒でつながっているのも
体勢がかえられず、ちょっとしんどくなってきた。


またやっちゃんの出番。
後陣痛にくるしんでいるあいだに
手際よく、あかちゃんのへそ近く2カ所をたこ糸でむすび
「おへそきるよ〜、がまんしてよ〜」とあかちゃんに話しかけながら
わたしが木で作ったナイフ(いわゆるバターナイフ)で
ごりごりとつぶし切った。


そのあいだも、わたしは後陣痛。
うーーん、くるしい!!!
股のあいだから、あかちゃんときりはなされて
ぶらりと下がったへその緒を
ゆっくりひっぱってみたりしたけど
途中でブチッとちぎれそうでこわい。


やはり自然にでてくるのを待つしかないかー
わたしは観念して、あかちゃんの横で耐えることにした。
外がうす暗くなっていたから、5時ごろだったんじゃないかな。
やっちゃんが、晩ごはんのためのカレー粉を買いにいこうとしたとき、
それは、いっきにとびだした。
あかちゃんよりも勢いよく、どーん!と。
おおきなおおきな胎盤が「うまれた」のだった。





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